いよいよ12月に入り、大変だった一年も終わり新しい年に近づいています。
新入社員のひとたちは新しい環境で覚えることは多いし、気も使うしで、あっという間の一年だったと思います。新年を迎える喜びもひとしおでしょう。
ですが、今年のうちにもう一つ乗り越えなければならないイベントがあります。
それは「忘年会」です。新入社員にとっては仕事とはまた違う、不安と緊張のイベントですよね。上司、先輩、まだよく知らない同僚たち・・・どんなことを話せばいいのか?席順は?そもそもお酒好きじゃないし・・・など考えるだけで”行きたくない”と憂鬱な気持ちになります。
さらに新入社員に任されやすいのが「余興」です。
新入社員が余興担当になっているのはよくある話ですが、できるならやりたくないのが本音ですよね!
今回は忘年会の余興を新入社員に強要するのはパワハラにあたるのか?上手な断り方についても紹介していきます。
忘年会に行かない・行きたくない若者や若手社員が増えた理由は?
2019年年末に「忘年会スルー」という言葉が注目されたのはご存知ですか?
忘年会に行きたくない若者がSNSで使ったハッシュタグで、NHKでも取り上げられました。それほど関心を持っている人が多いということです。
忘年会シーズンは毎日飲み会!という時代もありましたが、今は飲み会自体意味を見出せない、行きたくないと考える若い人も少なくありません。
その理由について3つ紹介します。
忘年会行かない・行きたくない理由
- 人間関係が出来上がってないから
- プライベートのことを聞かれたくないから
- 余興をしたくないから
詳しくみていきましょう。
①人間関係が出来上がってないから
新入社員の人たちはこの一年頑張ってきたと思いますが、4月から入社したとしてもまだまだ9ヶ月。新人研修を受けたり、業務を覚えたり、慣れてきた頃とはいえ関わる人もまだ限られていますよね。
忘年会で上司や同じ部署でもまだ話したことがない人と一緒になるのは何を話せばいいのか分からないし、気を使います。席順によってはまわりが誰も知らない人になる可能性も・・・想像するだけで憂鬱な時間です。
②プライベートのことを聞かれたくないから
飲み会になると、新入社員によく聞かれるのは「恋人はいるの?」や「休みの日はなにをしてるの?」などプライベートの話題です。
仲の良い人と話すのなら楽しい話題ですが、忘年会の盛り上がるための話題づくりのために聞かれるのは楽しくないですよね。
答えても答えなくても上司や先輩に説教されたり、自分たちの武勇伝や勝手に人生相談になっていたり、興味のない話を聞くのは気が滅入ります。
③余興をしたくないから
新入社員に任されやすい忘年会の役割は、余興です。
会社によっては新入社員が余興係だと定着しているところもあります。そもそも仕事だけで四苦八苦しているのに、業務外のことを考えるのは難しいことです。断るのも難しいのが現実なので、ほぼ強要、仕事の一環という雰囲気もあります。
最近の働き方で「ワーク・ライフ・バランス」(働くすべての方々が「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方、生き方)が推奨されているのに、業務後まで拘束されるのは荷が重い案件です。
忘年会に行ってもいいけど余興はしたくない!
たしかに忘年会に参加するのは不安、緊張はあります。
でも、先輩と仲良くなれたり得る物あるので、美味しいご飯が食べられるし、仲の良い同僚と一緒に参加してみるのも全然アリです。
ただ飲んで食べるだけなら気が楽ですが、新入社員は「余興」の役割を与えられる場合があります。
前項でもふれたように、入社してまだ9ヶ月”仕事だけでも精一杯なのに余興なんて考えられない!”と思いますよね。
では、忘年会に余興はなぜ行うのか考えていきます。
余興の目的
①宴会を盛り上げる
余興とは「宴会を楽しく盛り上げる出し物」を意味します。
結婚式の余興では新郎新婦を祝福するなどの目的がありますが、お酒も入っている忘年会で行われる余興の役割は、”盛り上げること!”に限ります。
②顔を覚えてもらい、ネットワークを広げる
余興を通して、まだ話したことのない人に覚えてもらうことができます。またその後も話すきっかけにもなり会社でのネットワークが広がります。
③新入社員の仕事への姿勢をみる
余興をやり通すことが仕事の評価につながることがあります。協調性はあるのか、会社に貢献しているか、接待に向いているかなど仕事の練習として見ている上司もいます。
出世欲の強い人はこういった機会に自分をアピールすることができる場にもなります。
余興を行うプレッシャーは新入社員には荷が重いです。
また最近では出世欲のない若い人が少なくありません。出世欲のない人は、仕事ができない、やる気がない、と誤解されがちです。
そうではなく仕事はそつなくこなし、働くことにこだわりや情熱が少ないため必要以上にネットワークを広げることも、自分をアピールする必要もないと考えています。
さらにプライベートを大事にしている時代。業務外に、ダンスなど大人数でやる場合は、練習など何度か集まる必要もあります。”面倒だな” ”やりたくない!”と思うのは普通のことです。
余興を強要された!これってパワハラ?どこに訴える?
忘年会の余興は断ったとしても業務外のことなので、契約違反にはなりません。
ですが長年忘年会では余興をするのが恒例となっている会社では、実際断ることはできません。したくないと断っても、”協調性がない” ”非常識”と思われることもあるでしょう。
その後の人間関係もぎくしゃくしてしまうかもしれません。結局やらなければならない雰囲気になってしまいますね・・・
でもこれってパワハラなのでは?
パワハラとは何か説明します。パワハラとは、パワーハラスメントの略称です。立場や権力を利用し、社会的地位が自分より低い人に対して、不当な要求や嫌がらせ、苦痛を与える行為のことをさします。
また厚生労働省によってパワハラには6つの種類にわけられています。
パワハラの6つの種類
- 身体的心外
- 精神的心外
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の心外
余興をただ頼まれるだけだとパワハラには当たりませんが、”断ることができない強制的な状況”だった場合「過大な要求」にあたるのでパワハラになります。
パワハラを訴えたい場合の行動パターンを紹介します。
周りの人には相談できない。でも誰かに相談をしたい、話を聞いて欲しい場合は、まず公的機関に相談することをおすすめします。2つ紹介します。
厚生労働省・総合労働相談コーナー
- 相談料無料、予約不要、プライバシー保護厳守
- 解雇、雇止め、配置転換、賃金の引き下げ、募集・採用、いじめ・いやがらせ、パワハラなどあらゆる分野の労働問題を相談できる
- 学生、就活生も相談できる
- 外国人労働者などからの多様な言語にも対応している
- 専門の相談員が面談もしくは電話で対応してくれる
「個別労働関係紛争の解決促進に関する法律」に基づき、労働相談を受けてくれるほか、情報提供もしてくれます。
詳しい情報はこちらです。
総合労働相談コーナーのご案内
法テラス(日本司法支援センター)
- 国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所である
- 法テラス・サポートダイヤルで困りごとに応じて、問題を解決するための法制度や手続き、適切な相談窓口を無料で教えてくれる
- 法律相談は収入基準と資産基準を満たしている方は無料で受けられる
- 費用に困る方には立て替えてくれる制度もある
詳しい情報はこちらです。
日本司法支援センター・法テラス
弁護士会とも連動しているので、最終的に法的処置で解決したい場合はおすすめです。
次にパワハラ問題を実際に解決したい場合にやることを説明します。
上司に相談する
直接上司に訴えるか、仲の良い先輩に相談してみましょう。そもそも余興はいらないと思っている人もいるかもしれないので案外早く解決するかもしれません。
ですが、逆上したり、関係が悪くなる場合もあるので慎重に対応しましょう。
証拠を確保しておく
相談する際にはパワハラを立証するために、余興を強要された時のボイスレコーダーや、日記、メモ書きにパワハラを受けた内容や日時を記録しておきしょう。
社内の相談窓口や人事に相談する
会社によっては、社内に相談窓口があることが多いです。余興を強要されている現状と困っていることを相談してみます。
会社にパワハラの改善要求を内容証明で書面で送付することもできます。これはもし訴訟になった場合に、内容証明で送ることで郵便局が書面の文面を証明し、証拠化してくれます。
中小企業であっても労働安全衛生法上、使用者は社員に安全かつ健康に働ける職場環境を構築しなければならないので、担当部署はしっかり改善、対策してくれるはずです。
解決したあとに、弊害として人間関係が悪くなったり、働きにくくなることもあります。
これは極論かもしれませんが、つらい思いをして精神的に病んでしまっては元も子もないので、自分を守るためにも転職することも選択肢にいれておくことも考えておきましょう。
そもそも忘年会など会社の飲み会に参加することのメリットは?
忘年会とは本来「その年の苦労を忘れるために年末に催す宴会」です。その年の大変だったこと、嫌なこと苦しかったことを忘れて、新しい一年を迎えるために行うものです。
会社で行う忘年会は「社員を慰労する」目的のものと、「接待のため」の取引先の方たちと”今年はお世話になりました、来年もいいお付き合いをしましょう”というあいさつ目的の2つがあります。
まず社員を慰労する目的の忘年会のメリットをいくつかあげます。
社員を慰労する目的の忘年会のメリット
- 上司や先輩、同僚と普段できない話ができる
- 交友関係を深め、ネットワークを広げることができる
- 社会人としての付き合い方やマナーを学べる
余興に参加するメリットも同様です。
私も基本的には余興もしたくないのが本音ですが、あとから振り返ってみれば普段の仕事よりあの時一生懸命ダンスの練習や忘年会の幹事をして苦労したことのほうが思い出されます。
当時は大変でしたが、振り返ってみると失敗したことも含めて楽しかったなと思えるのも事実です。
次に会食、接待のための忘年会のメリットです。
会食・接待のための忘年会のメリット
相手との信頼関係を構築する
お酒の力も借りてリラックスできるので、取引先と良好な関係を深めることができます。
交渉を円滑に進めるために行う
交渉を希望通り進めるたに説得したり、スムーズに行うことができます。
会食、接待はプライベートで参加しているわけではく、ビジネスの一環と捉えるのが一般的です。会社の代表として参加することが大切です。
近年ではクリーンで平等な立場でビジネスを行うべきだという観点から接待禁止の企業も増えているようです。
そのため相手側の接待のルールを知っておくことも大切です。
忘年会や余興をスマートに断る方法は?
忘年会や余興を断る方法として、もちろん「その日は先約があり行けない」や「子どもが小さくて行けない」など本当に行くことができない理由もあります。
ただ単に行きたくないという場合使われることが多いのは、以下です。
- 体調不良・・・医者にアルコール飲んではいけないと言われている、など
- 冠婚葬祭・・・親族、古くからの友人の結婚式と予定がかぶっている、など
まず共通して言えることは断るときは堂々としていることです。曖昧に断ったり、当日ドタキャンなどは今後の信用や人間関係にも差し支えるので、避けた方がいいです。
断り方のポイント
きちんと連絡をすること
上司や幹事と毎日顔を合わせているのであれば、直接断るほうが印象がいいです。
直接伝えた方が誠意が伝わりますし、毅然と参加できない理由を伝えれば(体調不良、冠婚葬祭など)それ以上追求されることも少ないでしょう。
低姿勢で謝る
”せっかく誘っていただいたのに申し訳ない”というスタイルが大切です。”行きたいけど行けない” ”行きたかったのに残念”という姿勢でいけば断られたほうも悪い気がしません。
さらに”誘っていただいた感謝の気持ち”も伝えると失礼な断り方にはなりません。
ただ体調不良、冠婚葬祭はそう何度もは使うことはできません。いつか怪しまれて嘘だとバレてしまいます。そもそもできれば嘘はつきたくないのが正直なところです。
いさぎよく、忘年会に参加するのは苦手だから行きたくないと伝えてみるのもひとつの方法です。
時代の変化によって、飲みニケーションも形を変え、お酒に頼らず業務時間内でコミュニケーションをとることが求められています。
普段の仕事をきちんとやっていれば信用は得られますし、例えばランチを一緒にとったり普段から上司、先輩たちとコミュニケーションをとっておけば親睦も深められます。
”お酒が飲めない” ”お酒の場が苦手”ということを普段からアピールしておくと、いざ忘年会に誘われた時断りやすいですね。
明らかに嘘とわかったり、ドタキャンすることは迷惑をかけますし、今後社内での信用をなくすことになり得るので避けましょう。
行かないと決めたのならできるだけ早く、誠意をもって伝えるようにしましょう。
こちらの動画も飲み会の断り方を紹介されているので、参考にしてみてください。
まとめ
- 忘年会の余興を新入社員に強要するのはパワハラにあたるのか、断り方について紹介しました。
- 若い人が忘年会に行かない理由は、人間関係ができあがってない、プライベートのことを聞かれたくない、余興をしたくないがあげられます。
- 最近の若い人は出世欲も低く、飲み会や余興への参加に消極的になっています。
- 忘年会、余興への参加の強要はパワハラにあたり、相談するなら公的機関、実際に解決したいなら会社の担当部署に相談しましょう。
- 忘年会に参加することで、上司と先輩と話す機会をもてたり、ネットワークを広げることができます。
- 忘年会、余興を断る時は早めに、低姿勢できちんと連絡することが大切です。
今回忘年会、余興について述べてきましたが、もちろんこの記事を読んだだけでは、問題は解決しません。
余興を強要された!パワハラだ!という訴えも、ときに自分を守るためには重要なことですが、できれば今後の会社員人生を考えると穏便に過ごしていきたいですよね。
まずは、普段から仕事への姿勢、上司先輩とコミュニケーションをとり親睦を深めておきましょう。自分とはどういうキャラクターか知ってもらうことで、気兼ねなく飲み会を断れるようになります。
ぜひこの記事を参考にして、自分のプライベートも大事にし、気持ちよく働ける環境をつくっていきましょう。
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