皆さんは二年参りをご存知ですか?
二年参りとは大晦日を通して新年の参拝をすることを指します。
長野県では「二年参り」という言葉で通じますが、他県では「年越し参り」などと言われているようです。
私は長野生まれ・長野育ちですが、二年参りは全国共通の言葉・行事だと思っていました。
長野県民にとって、二年参りは一つの大きなイベントとなっていると思います。
特に学生時代に友達と行った二年参りは、普段夜を越してまで友達と集まれない事もあり、大人になった今でも鮮明に覚えています。
ただし、二年参りも立派な神社・仏閣への参拝です。
だた集まって過ごせば良いというわけではなく、きちんとした作法がありますので、今回は二年参りを行う上での注意点や、長野県の正月について紹介していきたいと思います。
二年参りって長野だけなの?全国で同じ風習はある?
二年参りの呼び名は長野県だけでなく、新潟県・群馬県などで使われている方言の一種だそうです。
また他の地域では「年越し参り」と言われる事もあるそうで、全国的に年越しを神社・仏閣で行う風習はあるそうです。
行く年と来る年の二年に渡りお参りをすることから二年参りと呼ばれており、多くは年が変わる時を参道で迎えそのまま神社・仏閣で新年を迎え、お参りをします。
ちなみに大晦日、元旦と連続で二回参拝をする二年参りですが、ご利益は二倍になったりするのでしょうか?
二年参りではより「功徳を積むことが出来る」と言われてます。
これだけ聞くとより多くのご利益が期待できるように感じますが、「徳を積めばご利益がある。」とは言えません。
徳を積むというのは、善い行いをすることで人格を磨くことであり、ご利益をもらうための行いではないのです。
お参りは見返りを求めてするものと思わずに、一番は感謝の気持ちを伝えるということを心がけましょう。
二年参りの正しい参拝方法は?
二年参りの参拝方法は、12月31日の夜に神社でお参りをし、そのまま0時をまたいで新年を迎えるという方法が一般的だと思います。
二年参りを行う場合も一般的な初詣と同じ参拝方法になります。
神社の参拝方法
- 鳥居手前で一礼してからくぐる。
- 手水場で手と口を清める。
- 本殿前では、お賽銭を静かにお賽銭箱に入れ、鈴を鳴らす。
- 姿勢を正して、二礼二拍手、一礼をして出る。
お寺での参拝方法
- 山門の前で一礼して入る。(この時、敷居は踏まずまたぐのがマナー)
- 手水場で手と口を清める。
- 線香に火をつけて線香立てに立てる。(煙を浴びて、またぐのがいいとされています。)
- 本堂で本尊に一礼し、お賽銭を賽銭箱に入れる
- 鳴らし物があれば一回打ち、合唱して祈り一礼して終了。
昨今は、コロナウイルスの影響で参拝方法も変わってきています。昔ながらのやり方を守ることも重要ですが、近年は、その場の状況に合わせて、作法も変えていく必要があると思います。
おすすめの動画を見つけましたので、是非ご覧ください。
二年参りの利点としては、元日に比べて神社が混雑しない。という点と、境内で年を越す。という自宅で行う年越しとは一味違った雰囲気を楽しめるという点ですね。
神様・仏様に新年のご挨拶をしてから、自宅に帰ってゆっくりとお正月を過ごす。と言うのもお正月の一つの過ごし方ですね。
長野人気二年参り3選! 「善光寺」
牛にひかれて善光寺参り、で全国的にも有名な「善光寺」
「遠くとも一度は参れ善光寺」の言葉通り、一度でも参拝すると極楽浄土が約束される。とされていたほどご利益が多いことで有名な寺院です。
「お戒壇めぐり」など、お釈迦様との縁を強くするご利益が多くあり、長野県民のみならず他県からも多くの観光客が訪れます。
長野で二年参りを行うとしたら、と聞けば必ず耳に入るほど人気の寺院です。初めて二年参りを行う方は、ぜひ善光寺に足を運んでみて下さい。
長野人気二年参り3選! 「諏訪大社」
全国に約1万社の御分社が鎮座する、諏訪神社の総本社である「諏訪大社」
長野県諏訪湖の南北に4つの宮を構え、御神木や神体山そのものを御神体として祀っています。日本最古の神社の一つで、格式高い神社は古くから強力なパワースポットとして知られています。
特に諏訪湖の周りにある諏訪大社の4つの宮をまわる「四社参り」は、年を跨いで参拝される方が多いです。
諏訪湖周辺に転座している神社は、1日で回るのは骨が折れます。
一つ一つの神社を時間をかけてゆっくり回るのも、2年参りだからこそ出来る参拝方法ですね。
長野人気二年参り3選! 「牛伏寺」
「信州随一の厄除け観音」として知られる牛伏寺(ごふくじ)
牛伏寺、またの名をうしぶせ寺とも呼びます。都から善光寺へお経を奉納する途中、2頭の牛が動けなくなり、そこへお寺を建てたという伝説から、牛伏寺と言う名前がついたとされています。
広大な敷地には国の重要文化財も多く奉納されており、県下屈指の宝納寺とも言われています。
厄除けのご利益が高い寺院で、厄払いとして年が明けてからお寺で御祈祷をして、護摩を貰って帰る方が多いです。
この護摩が厄除けとして有名で、「厄除け」で調べると牛伏寺の護摩は必ず出てくるワードになってます。
厄年の方は、この寺院で年越しして厄を落としてみてはいかがですか?
長野のお正月の特徴は?
海なし県である長野県では、お正月のお祝い事料理として肉料理よりも刺身、数の子、握り寿司などの海産物がご馳走として食される傾向があるそうです。
確かに、私自身お正月にお肉料理が出た思い出がないです。その分お刺身や煮つけ、海鮮丼など海の幸をお正月には食べる覚えがあります。
また長野県はお蕎麦もおいしいので、年越しそばを食べる人は県外の人に比べて多く、食べ方も温かいお蕎麦・冷たいお蕎麦など様々な食べ方をします。
私自身、年越しは冷たいお蕎麦、朝起きたら温かいお蕎麦を食べて食休みする。と教えられてきました。
こういった食の違いは地域によって様々ですよね。温かいおそばを食べるのも寒い長野県だからこそですね。
ちなみに長野県民のは、そばに天かすを入れない人が多いそうです。
私も入れません。
冬の長野県といえば個人的おすすめ3選!
野沢温泉村の「道祖神祭り」
「道祖神祭り」とは、簡単に言うと「どんど焼き」の事です。
長野県のどんど焼きは、松本地方では「三九郎」、南信州では「おんべ」と呼ばれ今でも各地で行われている行事の一つです。
野沢温泉村の道祖神祭りもその一つですが、大規模に行われることで有名で、日本三大火祭りの一つに数えられ国の重要無形民俗文化財に指定されています。
1月13日に、御柱祭のように山から高さ20メートルもあるブナの木を運び、祭り前日の1月14日のお昼頃に組み立てられて、祭り当日の1月15日までに社殿が作られます。
祭りでは社殿に火をつけようとする側と、守ろうとする側の白熱した攻防戦が行われます。
この建てた社殿は一晩で全部燃やされるので、祭り中はかなり大きな炎が立ち上ります。壮大な規模で行われる火祭りは圧巻の一言です。
また、たくさんのお酒がふるまわれることでも有名で、酔っぱらう人が多い祭りでもあります。
善光寺の「びんずる廻し」
善光寺で行われる行事の1つで、本堂右脇にある「びんずる尊者像」を持ち上げ、参拝者とともに廻す行事です。
終了後には参拝者に杓子が授与され、その杓子で尊者像をなでて持ち帰ると、一年を無病息災で過ごせるといわれています。
この尊者像は善光寺の本堂に入ると一番初めに目につく像です。
病人が自分の患部と同じところを撫でると病気が治るという信仰があり、いつもたくさんの人が触っています。そのため「撫仏(なでぼとけ)」とも呼ばれ親しまれています。
普段参拝している尊者像を使って無病息災を願うので、いつもの参拝とは一味違った雰囲気を楽しむことができます。
諏訪湖の「御神渡り」
御神渡りとは、冬季の寒冷地で、湖面に一部盛り上がった氷堤が見られる現象の事を言います。
長野県の諏訪湖で特によく発生する現象です。
諏訪大社の上社と下社はこの御神渡りの起こりやすい両端近くに相対してまつられており、伝説では御神渡りは、上社の男神が下社の女神のもとへ出かけた跡だといわれています。
御神渡りは、氷のエネルギー発散によって起こります。この時の轟音は、昔は諏訪盆地一帯に響き渡ったそうです。
夜明け前に音が鳴り響く様子は、神々しく、「神様の起こした現象」であると言われるのも納得が出来ます。
そのため、長野県民は毎年、「御神渡りが起こったかどうか」に大きな注目をします。諏訪湖の御神渡りで年明けの季節の移ろいを感じているのです。
まとめ
- 二年参りって長野だけなの?全国で同じ風習はある?
- 二年参りの正しい参拝方法は?
長野人気二年参り3選!
- 善光寺
- 諏訪大社
- 牛伏寺
長野のお正月の特徴は?冬の長野県といえば個人的おすすめ3選!
- 野沢温泉村の「道祖神祭り」
- 善光寺の「びんずる廻し」
- 諏訪湖の「御神渡り」
二年参りは、昼間に行く初詣とは区別されており、初詣の中でも少し特別なものと認識されています。
ただ「2年に掛けて参拝」しているだけなのに、少し不思議ですよね。
きっと、年越しを神社・仏閣といった神聖な場所で迎えると、少し違った気持ちで新年を迎えることが出来るんですね。
だた、昨今はコロナウイルスの影響で、二年参り。もしくは初詣が満足に行えない状況が続いています。
最近はワクチン接種に伴い、落ち着いてきたコロナウイルスですが、まだ予断を許さない状況です。
今回ご紹介した御神渡りも、地球温暖化の影響で、現れない状況が続いています。
それでも、長野県では毎年、御神渡りがどうかということは大きなニュースとして取り上げられているのです。
コロナ禍や地球温暖化など、様々な問題がある中で、「時代に合わせて行事を楽しむ」と言うことが大切なのだと改めて感じました。
皆さんも是非、先祖代々続いてきたものを自身や、周りの環境に合わせて行ってみてください。
私も数年前まで二年参りをしていましたが、近年はコロナウイルスの影響で自宅で年越しをしました。
どちらも違った魅力がありますが、今年こそは感染対策をしっかり行い、二年参りに行きたいと思います。
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