一筆啓上火の用心お仙泣かすな馬 肥やせの意味は?火事を未然に防ぐためには?

年が明け、新しい1年が今年もやってきました。寒さも一層増し、冷えた身体を温めてくれるコタツやストーブは冬の必需品です。

また寒い冬の夜には、「火の用心、マッチ一本火事の元」の掛け声とともに拍子木の音が響いてきますよね。誰もが1度は聞いたことある、この言葉の語源を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?

これは防災意識を高めるための呼びかけなのですが、火の気が多くなる冬の時期に危うく火事になりそうな経験をしたことがある方も多いでしょう。

そこで今回は、

  • 冬の名フレーズ「火の用心、マッチ一本火事の元」の語源とは?
  • 冬火事が多い原因とは?
  • 火の用心のお札の取り扱い方とは?
  • 火事予防対策は何をするべきか?
  • 火事が起きたときにとるべき行動とは?
  • 火事になった場合にかかる費用とは?

について、ご紹介していきます。

健康な1年を過ごすためにも、防災意識を深めていきましょう!

「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」の意味は?

誰が書いた文?どういった意味なのか?

1575年(天正3年)に徳川家康の家臣であった本多作左衛門重次が、長篠の戦いの陣中から妻にあてて送った手紙文です。

意味は以下の通りです。

「くれぐれも火事に気をつけて、子供の面倒を見て、戦に欠かせない馬を丈夫に」

初めて読んだときは、短く要点だけ書かれたシンプルな文章という印象でした。

それでは、1つ1つ解読していきましょう!

一筆啓上とは、「手紙を差し上げます」という意味です。男性が手紙の冒頭で用いる文で、現在の拝啓にあたることばです。

この一句から見て、送り主の妻を敬う気持ちが表れているのが素敵ですね!

手紙文にある「お仙」とは彼の嫡子・仙千代のことを指しています。後継ぎになる息子は彼一人だったので、特に面倒を見ていたのではないでしょうか?

さらに当時の戦国時代にとって、馬は欠かせない、貴重な存在でした。そのため、「馬肥やせ」からは大切なもの、貴重品を大切にしろ…

つまり、贅沢を慎み、倹約・財畜に努めよとの教訓とも読み取れますね♪

この手紙を書いた重次は鬼作左(おにさくざ)と呼ばれた頑固で厳格な性格でした。無骨者らしく、余計なことは語らず、大切な事柄のみを簡潔に伝えているところがかっこいいです!

唯一の息子である仙千代を心配しながら、妻に留守中の家をしっかりと見る様にと送った作者の背景や時代の様子を知った上で読むと、短い文章の中に妻子を思いやる気持ち、気遣う優しさなどの家族愛がしっかりと込めらていると感じられませんか?

日本一短い手紙と言われている理由は?

上で説明した様に、この名文は手紙を書く上で必要な「簡潔明瞭な要件、相手を思いやる気持ち」が込められています。そのため、手紙の手本としてよく紹介されています。

読者の方々に情報を伝えるライターとしても的を射た例文で、私自身も簡潔に相手に伝わる文章を重次を見習って書いていきたいです

また、お仙こと本多成重は後に福井県に位置する丸岡城の城主になりました。

この丸岡城の一角には「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」の石碑が建っています。

丸岡町はこの碑文にあやかって、平成5年(1995年)から全国初の手紙コンクール「一筆啓上賞」が開催されています。活字やメールでは伝わらない本物の手紙文化の復権を目指す目的で、毎年指定されたテーマに沿って募集されています。

今までで応募総数が100万通超えの有名なコンクールです。この企画をきっかけに「日本一短い手紙」として有名になったといえますね。

デジタル化が進む時代だからこそ、手書きの手紙は形として残るだけでなく、より気持ちが伝わります

皆さんも年賀状や誕生日カードなど手書きの手紙をもらうと、相手の気持ちが一層伝わって思わずほっこりしませんか?

一筆啓上賞を興味を持った方はぜひ一度HPをご覧ください。

一筆啓上賞 - 公益財団法人 丸岡文化財団

そして、火事が多い冬の時期になると、誰も一度は聞いたことがある言葉「火の用心」

実は、火の用心という言葉の由来は本多作左衛門重次が書いた手紙文がきっかけだ言われています。

昔は消防組織やポンプ車などの整備が整っていないため、火の取り扱いに、より注意を払っていたことが手紙文からも読み取れます!

時代が移り変わっていく中で、現在もなお「火の用心」は火災予防の言葉として広く使用されていますよね。

それは、いつの時代においても火事は身近にある存在だったからなのではないでしょうか?

現在も消防設備が整っているとはいえ、冬場は特にニュースで火事の話題をよく耳にするものです。

自分の身、大切な家族の身を守るためにも、これから火事の原因や予防について勉強していきましょう♪

冬の火事が多い原因は?乾燥をしている状態とは?

冬火事が多い理由は?

冬といえば、火事が多い季節と認識している方が多いのではないでしょうか?

冬の火事が多い原因としては空気が乾燥している気候条件と暖房器具等の火気を使う機会の増加によるためです。

消防庁によると、冬季の火災発生は全体の3割近くにあたります。春季はそれよりも多い3割を占めます。

(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)

実は春季は1年間の最小湿度の記録が多い季節なのです。冬の低い湿度のまま気温が上がることが原因だそうです。言われてみれば、確かに春季は冬場に続き、お肌の乾燥や喉がイガイガすることが多いです。

そして、火災発生は空気が乾燥している冬季と春季だけで全体の約6割を占めます。つまり、空気の乾燥は火事のもとになるといえますね。

乾燥をしている状態とは?

乾燥とはご存知の通り、物に含まれている水分がなくなることです。

空気は気温が高い時はたくさんの水分を含むことができますが、気温が低くなるにつれ含める水分量は減少します。このため、冬場になるにつれて外気の湿度も下がり乾燥してしまうのです。

空気乾燥により火の気が多くなるとは聞いたことがあるかと思います。それは乾燥により水分量が減るため、火がつきやすく、広がりやすくなります。

簡単にいうと少し湿った紙より、そのままの紙の方が燃えやすいのと同じ原理です。

実は、乾燥する時期は空気中の水分量と同様に、建物や家具などに蓄えられる水分量も減少するのです!

そのため、冬場はちょっとした火の気が火事に繋がりやすく、他の時期以上に注意が必要になるというワケです。

乾燥以外の理由は?

もちろん乾燥以外の理由もあります。

主に冬場に火事になりやすい3つの原因を紹介します。

  1. ストーブ
  2. こたつ
  3. しゅうれん火災

1.ストーブ 2.こたつ

上述したように、寒い冬場に使用頻度が高くなる暖房器具による火災が多く発生します。中でも、冷えた身体を温めてくれるストーブとこたつは特に冬場の必需品といえますね!

令和元年にはストーブよる火事が年間1,144件、こたつがよる火事が年間43件ありました。

住宅火災に限ってみるとストーブは出火原因の3位にあたります!

主に冬場にしか使用しないストーブが、出火件数のトップ3に入ります。最近では電気ストーブが普及していますが、実は危険性はまだまだ高いままです。

(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)

 

「令和元年中の出火件数3万 7,683 件のうち、失火に よる火災は全体の 73.5%であり、その多くは火気の取 扱いの不注意や不始末から発生している」 

66ページ(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)

実際、ストーブの近くで洗濯物を乾燥させる、ストーブの前に長時間座る、こたつの中で衣服を乾燥させるなど、危険だけどついついやってしまっている方も多いのではないでしょうか?

約74%の火事が不注意や不始末によって発生しています。言いかえると誰でも起こり得ることなのです。この機会に「ついついしてしまう」自身の行動を見つめ直してみましょう!

3.しゅうれん火災

そして、最後に挙げたしゅうれん火災と聞いてピンと来る方は少ないかと思います。

小学生の頃に、虫眼鏡で黒い紙に太陽光を集めて紙を焦がす実験をした経験があると思います。まさに、あの現象がしゅうれん火災なのです!

つまり、太陽光が身近な日用品などに反射・屈折し、一点に集中した太陽光が、可燃物を発火させることにより発生する火災のことです。原因には鏡・ペットボトル・メガネ・金魚鉢・置き時計など多岐にわたります。

しかも、日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しやすいと言われています!

私自身、初耳の情報で小学校のときにしていた実験が火災になると知って正直驚きました。

珍しいしゅうれん火災が身の回りで発生しないためにも予防することが大切ですね!

以下を参考にしてください。

<しゅうれん火災の火災予防>

  • 窓際や太陽光が差し込む範囲には原因となる鏡やガラス玉を置かない
  • 外出する際はカーテンを閉めて遮断する
  • 水の入ったペットボトルを車内に置いたままにしない
  • 天気が良い日にレンズの役目をするものが日差しが届く場所に置かれていないか確認す

知らず知らずのうちに、火事が発生していることにもなりかねません。できることはしっかり対策して不安を減らしましょう!

火事を未然に防ぐ方法や対策は?

火事を起こさないように普段から気をつけることが大事ですね。

まず、冬場によく出火原因になる暖房器具特に、部屋をすぐ温かくしてくれる電気ストーブはその手軽さから何台も持つ家庭もあると思います。しかし、不注意や誤った使い方で火事に繋がるなんてことも、、

日々の生活で予防して、快適に過ごしましょう!下記の火災予防をぜひ参考にしてください

<暖房器具の火災予防>

  • 暖房機器の周りに燃えるものを置かない
  • 短時間でも離れる際はスイッチを切る
  • 使用しない時はコンセントを抜く
  • 定期的に暖房器具の掃除・点検する
  • 寝るときに使用しない

<配線器具の火災予防>

  • コンセントやプラグはほこりがたまらないよう、綺麗に保つ
  • プラグは丁寧に扱い、傷や緩みがあるプラグを使用しない
  • プラグはしっかり差し込む
  • 使用しない器具は電源を切り、プラグを抜くことを心がける
  • 過剰なたこ足配線を避ける

親・子それぞれ気を付けることは?

子どものいる家庭なら絶対に気をつけたいのが火遊びです。

子どもにとって火は身近にあるものながら、普段使用することを制限されているため、逆に強い好奇心を抱くことがあります。子供の時にライターやマッチなどに使ってみたい、興味があった方も多いと思います。

乾燥する冬場は小さな火でもすぐに広がり大火事になるリスクが高くなります。まずは親御さんとお子さんそれぞれが気をつけることが大切ですね!

  • ライターやマッチなど子どもが触れない場所に保管し、保管場所を教えない
  • 安全装置付きライターを使用する
  • 出火要因になる暖房器具、ドライヤー、アイロンなど子どもの目に触れない場所に保管する
  • 子どもの年齢に合わせて日の使い方や怖さを教える
  • 子どもが留守する時はガスの元栓を閉める

  • 実際に起きた火災のニュースなどから火遊びが危険であることを理解する
  • 正しい使い方で使用する
  • 親と一緒の時にしか使用しない

家族で住んでいる方は、この際に家族みんなで火災予防について一緒に学んで理解を深めていくのも1つの手ですね!火事からの身の危険を守りつつ、家族団欒もできるいい機会にもなりますね♪

火の用心の夜回りは誰が行っている?効果はある?

冬の風物詩である「火の用心、マッチ一本火事のもと」の掛け声とともに拍子木のカチカチという音が寒い夜に響きますね。

しかし、外から聞こえてくる掛け声や音を聞くとなんだか懐かしく感じがします♪

火の用心の夜回りは誰が行っている?

「火に用心しましょう」と防災意識を高めるために行われる行事ですが、誰が行っているのでしょうか?

主に消防団の方や町内会、ボランティアによるパトロールなど自治体によりさまざまです。

最近では騒音問題により、やらなくなってしまった自治体や参加者が減っている自治体も増えているようです。

上のツイートにもあるように、夜回りの時間帯を考えるのは大切ですね

歴史は?

火の用心の夜回りは一体いつから始まったのでしょうか?

大きな火事が多かった江戸時代から始まりました。

1648年(慶長元年)に出されたお触れには「火の用心」という言葉が含まれており、役人による夜回りが開始したことが記録されています。

そして、1718年(享保3年)になると町火消が発足し、武士の「武士火消」と町人の「町火消」それぞれによる消火活動が始まったようです。

これから見ても、「火の用心」という言葉の由来は本多作左衛門重次の手紙文がきっかけという説に納得できますね!

効果はある?

夜回りが始まった江戸時代に比べて、火災防止の安全装置がついており比較的火事は起きにくくなったといえます。

しかし、火気が多い冬場は火事が起こりやすいことは確かです。

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