カリカリカリ
どうして文字はあるんだろう
もしも文字がなかったら
今ぼくはどうしているだろう
もしも言葉がなかったら
この世界はどうなっているのだろう
カリカリカリ
カリカリカリ
引用:第十回あなたにあいたくて生まれてきた詩 コンクール 令和元(二千十九)年度 作品集
こちらの詩も、同じ短い文を繰り返し使うことでリズム感がでていて、日常でふと感じたような疑問がそのまま詩になっています。
大人になると日常のなかで不思議にも思わないようなことが、子どもならではの純粋な目線だと「どうして?」という疑問にかわり、とてもおもしろい詩になっています。
小学生高学年(5年生・6年生)向け書き方ガイド!題材はどうする?
小学校高学年くらいになると、作文などもたくさん書いてきて、得意不得意はあるものの「文章をつくる」ということに少しは慣れてきたころかと思います。
短い文を繋げてつくっていく詩でももちろん良いですし、たとえば日常で思ったことや感じたことなど、日記のような文章も立派な「詩」です。
けんみん文化祭ひろしま’10 文芸祭合同大会【現代詩】小・中・高校生の部 公益財団法人ひろしま文化振興財団理事長賞
ジャングルへいこう
「今日は、ジャングルへ行こう。」
そう言いながらトイレットペーパーのしんを
片手で持つ、そして家の中をまわり始める。
「あっ、あんな所にカンガルーが。」
トイレットペーパーのしんをのぞきながらいう。
「あっ、ライオンに気づかれた。」
ものすごいいきおいで、白と黒の大きな耳を
立てたライオンがやって来る。
だが、こんな所にライオンがいるはずない。
そう、ライオンの正体は、家で飼っている犬のことだ。
このライオンにみつかると手間だ。
一回かみつくとなかなかはなさないからだ。
「もう、はなせ。」
そんな事を言って聞く相手ではない。
「よし、こうなればおくの手だ、おすわり。」
その言葉を聞いたとたん
ライオンは犬にもどり、ジャングルに平和がもどった。
家の中をジャングルに、飼い犬をライオンに見立てて、楽しそうにじゃれあっている様子が目に浮かんできます。
このように日常で起きたことや、楽しかったことをそのまま詩にするのも良いですね。
飼い犬や家族のことについて、素直な子ども目線で書かれた詩はとてもおもしろいと思います。
詩の宿題を親が手伝う際のポイントや声掛けは?
本音を言えば子どもの感受性だけで完成させてほしい詩の宿題ですが、手伝わなければまったく出来上がりそうにない・・・。
そうなればとことん手伝ってあげたいところですが、手伝いすぎても子どもの詩ではなくなってしまいます。
感受性が豊かな子であれば、「好きなものとか、興味のあることから連想する言葉や感じたこと、気持ちを書いてね!」と言えばすぐに詩は出来上がってしまうでしょう。
ですが小学生になって自我が芽生えてくると、気持ちを表現するのを「恥ずかしい」と考えてしまう子どもも多いようで、そうなってしまうと詩をつくるのが苦痛で仕方ないはずです。
その場合は、こちらが記者になったつもりでたくさん質問してあげると良いと思います。
質問の例
- 冬のすきなところって何?
- どうしてそこが好きなの?
- そこから連想するものは?
- それはどんな気持ちになる?
など、そこから出てきたキーワードから短い文章をつくり、パズルのように組み合わせていけばある程度詩は完成するはずです。
素晴らしい詩を書くためにおすすめの詩集は?
わかりやすく絵が書いてあったり、簡単な言葉が使われてある詩集だと小学生でも読みやすいはずです。
素晴らしい詩を書くために、たくさん本や詩集を読むことがおすすめです。
小学生向けとは言えども、大人が読んでも何か気付かされるものがあったり、受け取り手によって詩の解釈が違ったり、そういったところが詩のおもしろいところです。
素晴らしい詩を書くためにおすすめの詩集その1:おどる詩あそぶ詩きこえる詩
しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩
「ことば」のプロフェッショナルである、はせみつこさん編集の詩集です。
谷川俊太郎、まど・みちお、工藤直子、川崎洋など、ことば遊びの達人たちの詩がこの本1つにまとめられています。
たくさん絵が使われていたり、つい声に出して読みたくなるような楽しいことばが使われていたりするので、小学校低学年の子でも読みやすいはずです。
子どもが楽しめること間違いなしのおすすめの詩集です。
素晴らしい詩を書くためにおすすめの詩集その2:谷川俊太郎詩集 たったいま
谷川俊太郎詩集 たったいま
小学校の教科書でもたびたび登場する谷川俊太郎さんの詩集です。
谷川俊太郎さんの詩はことば使いが美しく、大人も子どもも楽しめる詩集になっています。
挿絵が使われていたり、簡単なことばが使われているので比較的読みやすいこちらの詩集ですが、小学校中学年から高学年向きかなと思います。
簡単なことばの中には奥行きがあり、深い意味をもつような詩がたくさんあり、子どもの感受性や想像力がどんどん磨かれていくことと思います。
素晴らしい詩を書くためにおすすめの詩集その3:わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ
わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集
こちらもとても有名な詩ですね。
私は母の影響でこの詩に小学校高学年くらいのときに出会いました。
小学生ながらに「自分の個性を大切にしよう」と思えたり、「自分にかえってくるから悪口は言わないでおこう」と良い影響を受けたことを覚えています。
大人が読んでも感銘を受ける詩集ですが、作者である金子みすゞさんは壮絶な人生を歩み、26歳の若さで自ら命を経ってしまっています。
金子みすゞさんの詩はとても優しく、人間らしい温かみのある作品が多く、子どものころからこういった作品に触れることはとても大切だと思います。
まとめ
- 冬休み詩の宿題!そもそも「詩」とは?
- 詩作成のルールは?季語は?おすすめのテーマは?
- 小学生低学年(1年生・2年生)向け書き方ガイド!題材はどうする?
- 小学生中学年(3年生・4年生)向け書き方ガイド!題材はどうする?
- 小学生高学年(5年生・6年生)向け書き方ガイド!題材はどうする?
- 俳句の宿題を親が手伝う際のポイントや声掛けは?
- 素晴らしい詩を書くためにおすすめの詩集は?
- その1:おどる詩あそぶ詩きこえる詩
- その2:谷川俊太郎詩集 たったいま
- その3:わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ
大人でもいきなり「詩をつくる」ということはなかなか難しく、子どもが「詩の宿題」を出されたときに、どうサポートして良いのかわからず困ってしまいますよね。
自らも小学校のときに習っているはずですが、大人になって詩に触れ合う機会も減り、「詩の書き方なんて覚えていない・・・」という方がほとんどだと思います。
ですがこれを機に、もう一度素晴らしい詩集を読んでみたり、子どもに教えながら自らも楽しんで詩の世界に触れてみてくださいね。
少しのアドバイスで、あとは子どもの感受性に任せてしまえば思いがけず素晴らしい詩が出来上がるかもしれません。
以上、小学校低学年から高学年までの詩の書き方ガイドと、おすすめ詩集3選のご紹介でした。
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