最近、一段と寒くなってきましたね。
「火の用心、マッチ一本火事の元」という掛け声ともに拍子木の音が外から聞こえてくる季節がやってきました。
冬は火災の多い季節であることはご存知の通り、ニュースでも火事の報道をよく耳にします。
体をポカポカにしてくれるストーブの前に長く居座るなんてこともありますよね。私自身も冬の寒い朝はストーブの前からなかなか離れられません。
一方で暖房器具や料理をしていて、あやうく火事になりそうになった経験もあるのではないでしょうか。
火事が起こりやすい冬場は、より一段と気を引き締めて火の気を注意することが大切ですね。
この記事では
- 冬に火事が多い原因は何か
- 火事予防対策で何をするべきか
- もし火事が起きたらどんな行動をすればいいのか
- 火事が起こった場合、どんな費用がかかるのか
について、ご紹介していきます。
火事から大切な家、家族を守るためにも必要な防災対策や知識をきちんと学んでいきましょう!
冬の火事が多い原因は?乾燥をしている状態とは?
冬の火事が多い原因は?
それはズバリ空気が乾燥していることです!
消防庁によると、冬季の火災発生は全体の3割近くにあたります。春季はそれよりも多い3割を占めます。
(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)
実は春季は1年間の最小湿度の記録が多い季節なのです。冬の低い湿度のまま気温が上がることが原因だそうです。言われてみれば、確かに春季は冬場に続き、お肌の乾燥や喉がイガイガすることが多いです。
そして、火災発生は空気が乾燥している冬季と春季だけで全体の約6割を占めます。
つまり「空気の乾燥」は火事のもとになるといえますね!
乾燥をしている状態とは?
まず乾燥とはご存知の通り、物に含まれている水分がなくなることです。
空気は気温が高い時はたくさんの水分を含むことができますが、気温が低くなるにつれ含める水分量は減少します。このため、冬場になるにつれて外気の湿度も下がり乾燥してしまうのです。
上記では「乾燥=火事が起こりやすい」ことが分かりましたね。
ここで気になってくるのは、「なぜ乾燥によって火事を発生させやすいのか」ではないでしょうか?
これは単純です!乾燥により水分量が減るため、火がつきやすく、広がりやすくなるからです。例えば、少し湿った紙より、そのままの紙の方が燃えやすいですよね。これと同じ理由です。
また、冬場は空気の乾燥だけでなく、建物や家具などに含まれる水分量も減少します。そのため、冬場はちょっとした火の気が火事に繋がりやすく、他の時期以上に注意が必要です。
他にも乾燥により静電気が起こりやすくなります。誰しも1度、ドアノブやセーターやコートを脱いだ際に静電気でパチパチした経験があると思います。
乾燥は静電気の火花による自然発火も引き起こしやすくなります。風が吹くことで枯葉同士が摩擦して火種が生まれ発火するわけです。そのため、乾燥している時期に山火事が多い原因になります。
(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)
意外にも山火事が多い季節は春です。
確かに天気がいい春は山でキャンプするなど、外で火を使う機会が冬場に比べ増えますよね。乾燥する時期は家の中だけでなく、野外でも火の取り扱いに十分気をつけましょう!
乾燥以外の原因とは?
主に寒くなるとストーブなどの暖房器具、お鍋を食べるのにコンロを使う機会が増えますよね。そうなるとうっかり起こりがちなのが消し忘れ、また誤った使い方により火事が起こる可能性が多くなります。
冬場に多い火事の原因といえば下記が挙げられます。
- ストーブ
- コンロ
- こたつ
(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)
令和元年にはストーブよる火事が年間1,144件、コンロによる火事が2,918件、こたつがよる火事が年間43件ありました。この図からは季節限らず使用されるコンロは出火原因になりやすいことがわかります。
ここで、住宅火災に限って見てみるとコンロとストーブは出火原因の1位と3位にあたります。
主に冬場にしか使用しないストーブですが出火件数が多いです。火を使わない電気ストーブが普及していますが、危険性はまだまだ高いままですね。
実際、ストーブの近くで洗濯物を乾燥させたり、ストーブの前に長時間座っていたり、、ついついやりがちではないでしょうか。
「令和元年中の出火件数3万 7,683 件のうち、失火に よる火災は全体の 73.5%であり、その多くは火気の取 扱いの不注意や不始末から発生している」
(総務省消防庁「令和2年 消防白書」p.66)
約74%の火事が不注意や不始末によって発生しています。言いかえると誰でも起こり得ることなのです。この機会に「ついついしてしまう」自身の行動を見つめ直してみましょう!
火事とぼやの違い
火事とは、建造物や森林などが焼けることです。
一方、ぼやとは「小火」と書き、大きくならないうちに消し止めた火事のことです。
消防庁では火災の焼損程度を4つ区分しており、小さい順から「ぼや」「部分焼け」「半焼」「全焼」となっています。
「ぼや」とは、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の評価 額の 10% 未満であり焼損床面積が1m2 未満のもの、建物の 焼損部分の損害額が火災前の建物の 10% 未満であり焼損表面 積が1m2 未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。
(総務省消防庁「令和2年 消防白書」)
一見、あまり危なくないように感じるぼやですが、油断は禁物です。令和元年の建物火災の死者状況では全体の約6%が「ぼや」にあたります。
発見した場合に消防署に通報するか迷う方もいらっしゃると思います。しかし、小さな火であるぼやも立派な火災です。ぼやを発見したら通報しましょう!
冬の火事を予防するには?
火事を起こさないように普段から気をつけることが大事ですね。
まず、冬場によく出火原因になる暖房器具。
特に、部屋をすぐ温かくしてくれる電気ストーブはその手軽さから何台も持つ家庭もあると思います。しかし、不注意や誤った使い方で火事に繋がるなんてことも、、
日々の生活で予防して、快適に過ごしましょう。
暖房器具の火災予防
- 暖房機器の周りに燃えるものを置かない
- 短時間でも離れる際はスイッチを切る
- 使用しない時はコンセントを抜く
- 定期的に暖房器具の掃除・点検する
- 寝るときに使用しない
他にも火災が発生しやすいコンセントやプラグなど配線器具が挙げられます。
配線器具の火災予防
- コンセントやプラグはほこりがたまらないよう、綺麗に保つ
- プラグは丁寧に扱い、傷や緩みがあるプラグを使用しない
- プラグはしっかり差し込む
- 使用しない器具は電源を切り、プラグを抜くことを心がける
- 過剰なたこ足配線を避ける
子どものいる家庭なら絶対に気をつけたいのが「火遊び」です。
子どもにとって火は身近にあるものながら、普段使用することを制限されているため、逆に強い好奇心を抱くことがあります。子供の時にライターやマッチなどに使ってみたい、興味があった方も多いと思います。
乾燥する冬場は小さな火でもすぐに広がり大火事になるリスクが高くなります。
まずは親御さんとお子さんそれぞれが気をつけることが大切ですね。
親
- ライターやマッチなど子どもが触れない場所に保管し、保管場所を教えない
- 安全装置付きライターを使用する
- 出火要因になる暖房器具、ドライヤー、アイロンなど子どもの目に触れない場所に保管する
- 子どもの年齢に合わせて日の使い方や怖さを教える
- 子どもが留守する時はガスの元栓を閉める
子
- 実際に起きた火災のニュースなどから火遊びが危険であることを理解する
- 正しい使い方で使用する
- 親と一緒の時にしか使用しない
ここで、見落としがちなのがしゅうれん火災です。
しゅうれん火災とは太陽光が身近な日用品などに反射・屈折し、一点に集中した太陽光が、可燃物を発火させることにより発生する火災です。
小学生の頃に、虫眼鏡で黒い紙に太陽光を集めて紙を焦がす実験をした経験があると思います。まさに、あの現象がしゅうれん火災です。
なんと、日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しやすいと言われています。原因には鏡・ペットボトル・メガネ・金魚鉢・置き時計など多岐にわたります。
しゅうれん火災の火災予防
- 窓際や太陽光が差し込む範囲には原因となる鏡やガラス玉を置かない
- 外出する際はカーテンを閉めて遮断する
- 水の入ったペットボトルを車内に置いたままにしない
- 天気が良い日にレンズの役目をするものを日差しが届く場所に置いていないことを確認する
知らず知らずのうちに、火事が発生していることにもなりかねません。
日頃からしっかり対策して、不安を減らしましょう!
正月休みの帰省中に火事をおこさないために
正月休みに帰省などで長期間家を空ける方も多いですよね。火災発生が多い季節だからこそ、いつも以上に心配や不安な気持ちになります。
安心してください!
以下の防災対策チェックシートを確認するとバッチリです。きちんと防災対策をして、気持ちよい一年の最初を迎えましょう♪
□コンセントを抜く(中に物が入っている冷蔵庫は切らなくてもOK)
□ブレーカーを落とす(冷蔵庫の中に物がある場合、キッチンはつけておく)
□ガス・水道の元栓を閉める
□コンセント周りの掃除・ホコリ取り
□レンズの役目のもの(ペットボトルやガラス玉)などを屋外に置かない
もし火事になってしまったらどうする?
残念なことに防災対策をしたとしても、誰しも起こる可能性はあります。
もしもの時に備えて、適切な行動が取れるよう確認していきましょう。
自宅で火災が起きた時に取るべき対処
- 大きな声で「火事だ!」と知らせる
- 火を消す(天井まで火が昇っていない3分以内まで)
- 部屋やドア、窓を閉める
- 煙を吸わないように口鼻を布やマスクで覆う
- 姿勢を低くして逃げる(天井に火が燃え移ったら直ちに逃げる)
- 消防署に通報する
- 一度避難したら戻らない
部屋やドア、窓を閉める理由は、出火した部屋のドア等が開いていると火に空気(酸素)が供給され、さらに燃え広がるからです。遮断することで火の燃え上がるスピードと避難時間・経路を確保することができます。
実は火事で命を落とす原因で多いのは「煙」なんです。煙を吸い込んでしまうと意識を失い、最悪死に至る危険があります。
煙は下から上に天井まで広がり、だんだん床へと下がってきます。そのため、煙を吸わないよう口鼻を覆い、姿勢を低くして移動することが大事です。
火事を大きくしないためにも、消化することが大切ですね。
そこで使用するものといえば、消化器です。ですが、消化器の使い方を知っている人は意外にも多くないのではないでしょうか。
実際火事が起きれば、パニック状態になって適切な判断が難しくなるかもしれません。今から消化器の使い方の知識を身につけておきましょう!
消化器の手順
- 安全栓を引き抜く
- ホースをはずし火元に向ける
- レバーを強くにぎる
ぜひ下記の動画で消化器の手順や使用方法をわかりやすく説明しているのでご覧ください。
一方で消化器がない場合はどうすればいいのでしょうか?
1.天ぷら油・石油ストーブ
濡らしたシーツやバスタオルを手前からかぶせて酸素を遮断する
2.電気機器
プラグを抜き、できればブレーカーを切った上で水をかけ消火する
3.カーテン・ふすま・障子
水をかけるまたは、カーテンなら引きちぎり、ふすまや障子は蹴って倒し足で踏んで消火する
4.衣服
転げ回って火を消し、水をかけるまたは浴槽に飛び込む
特に冬場は長袖を着るため、火が袖から移るなんてこともあります。
火に巻き込まれたら起きてしまいそうですが、なんと余計に燃え上がる可能性があるようです。
横になって転がり火を消すことが大事です!
私自身も初耳情報でした。いざという時に行動できるよう、知識を身につけることが自分の身を守ることに繋がりますね。
隣家や近所が火事になったらどうする?
今度は他人の家が火事になっていた場合はどうすればいいのか考えていきましょう。
隣家や近所で火災が起きた時にとる対処
- 大声で火事だと知らせる
- 消防署に通報する
- 初期消火を行う
- 避難する
当本人が火事に気づいていない場合があるのでまずは大声で知らせましょう。
また、小さい火なら火災の被害を抑えるために初期消火に努めるが、火が大きくなった時、10分経っても消火できない場合はすぐさま逃げましょう。
火事から逃げる際は、風向きに対して直角の方向に逃げると安全性が高いです。
風が強い日は特に火が燃え移るスピードが速いので、隣家でなくてもすぐさま外に逃げることが大切です。火事の経験がない分、今から火災の知識や避難経路を知っておくことがいざという時に役立つはずです!
知っておきたい火事とお金
消防費用は無料?
もし火事を起こしてしまった時、気になるのが消防活動で使った費用です。特に消防車で大量放水を行えば、なおさら莫大な請求額を負担するのかとハラハラしますね、、、
安心してください!消防費用は無料です。
なんと料金は水道局、または消防庁が負担しています。
水道局も消防庁も、元をたどれば国民が納めた税金から成り立っているので、罪悪感を持つ必要はありません。それより、今まで以上に防災意識を持つことが大切です。
家が全焼したらいくらかかる?
全焼した家は、焼け跡の残骸の撤去つまり解体工事を行う必要があります。全焼した家の解体費用は高くないと思っている方が多いのではないでしょうか?
実際のところ、解体費用は数百万円から数千万円単位になり、高くつくことがほとんどです。また建物や家屋の面積や建物の構造によって解体費用が異なります。
例えば、45坪の木造住宅の場合だと約300万前後、90坪の鉄筋コンクリート住宅だと1,000万円超の費用がかかります。
高額な解体費用が必要になるため、解体業者選びは慎重に行うことが大切です。少しでも良心的な金額で解体工事してくれる方がいいですよね。そのため、解体業者選びの際は複数業者に見積もりを依頼することを心がけましょう!
マンションでボヤの場合の費用は?
マンションで火事が起こった場合、通常部屋の大きさにより修復費用が異なります。
- 20㎡ー300万円
- 50~60㎡ー700万円
- 60㎡ー1,000万円以上
マンションの場合も修復業者により価格が変わるため、複数業者に見積もりを依頼すると良さそうです。
隣人に燃え移ったら?
自宅だけではなく隣家にまで火が燃え移った場合、すべての損害を賠償するべきだと思われるでしょう。
しかし実際のところ「失火責任法」という法律により、故意や重大な過失でない限り、損害賠償を負わなくてもいいとされています。
火事を起こしたら、近隣住民に必ずお詫びに行きましょう。
賠償する必要はないといっても、延焼した隣家はもちろん近隣住民に迷惑をかけたことに変わりはないです。
延焼した隣家には火事の損害に応じた「菓子折り」と「お詫び金」を持っていくことが一般的です。また、近隣住民には「菓子折り」を持っていくことが良いでしょう。今後の近隣住民との付き合いも考え、きちんとお詫びをしに行くことが大切ですね。
以上のように、火事になると解体費用・修繕費・最建築費など人生1番の出費になる可能性もありますよね、、、
ここでオススメするのが「火災保険」です!!
家屋は人生の中でもっとも高い買い物になる可能性も十分にある高額な物です。そのため、万が一火事が起きた場合、家屋だけでなく家財も全て失う可能性が高く、生活そのものが破綻する恐れがあります。
火事にあう確率が低くても、火災によるダメージは相当のものといえますね。
そもそも保険とは、少額ずつ掛金を支払うことで、大きなリスクに備えるためのものであります。
まさに火災保険こそ、かけておくべき保険だといえますね!
火災保険の補償内容
火災保険はどんなことを補償するのか見ていきましょう。
ここで見落としがちなのが近隣のもらい火事の場合です。先ほど紹介したように、「失火責任法」という法律により損害賠償がもらえない場合が多いのです。
もらい火に巻き込まれた被害者なのに莫大な修繕費を出すハメになるなんてことも、、、しかし、火災保険に加入していればもらい火事の損害をカバーできます!
いつどこで起こるかわからない火災だからこそ、火災保険の重要さが一層伝わったのではないでしょうか。
さらに火事以外にも落雷や風水災などの自然災害、かつ盗難・破損・爆発などによる損害もカバーしてくれます。
他にも、火災保険は賃貸の方にも嬉しい補償が付いています!
賃貸住宅の場合、退去時に部屋を借りる前と同じ状態して返す義務があります。そのため、自分が原因で失火した場合大きな出費が必要になります。
一般的に火災保険には、このリスクに備えた「借家人賠償責任補償」もついています。
※保険会社によるので、自身でも補償内容を1度確認してください。
火災に備え、普段から防災意識や対策を取ることが大切です。しかし、火事は普段使う身の回りの物から起こる危険があるため、誰にでも起こりうることだといえますね。
火事になると、家や家財全て失い、さらに莫大な費用がかかることになり途方にくれるなんてことにも、、、手遅れになる前に、火事や自然災害、もらい火事などの損害を様々な補償がある「火災保険」にぜひ加入しましょう!
最後に
- 冬の火事が多い原因は?乾燥をしている状態とは?
- 冬の火事を予防するには?
- 正月休みの帰省中に火事をおこさないために
- もし火事になってしまったらどうする?
- 隣家や近所が火事になったらどうする?
- 知っておきたい火事とお金
以上をご紹介いたしました。
冬は正月なので家を空けることも多い時期です。空気の乾燥や暖房器具が原因なのはもちろんのこと、ペットボトルや鏡などが原因で発生する火事もあります。また冬は火事が多い時期だからこそ、きちんと防災対策をして安全に新しい1年を迎えたいですね。
火事が起こった際、冷静に行動できる人は少ないです。正直、私自身もその自信は全くありません、、
火事はいつどこで起こるかわからないからこそ、知識や対処法を今からきちんと身につけておくことが大切です!
家が火事になれば、生活の三大要素である「衣・住・食」が一瞬のうちになくなることになります。それに加えて、解体費用・修繕費・最建築費など莫大な費用がかかることもざらではありません。
手遅れになる前に今から「火災保険」に加入しておきたいですね。心にゆとりを持つためにも、自身が加入している保険を1度見直してみましょう!
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