教師という職業につきものなのが挨拶、スピーチです。
中学生、高校生相手ならば大人の言葉で話ができますが、小学生相手になると独自のテクニックやコツが必要です。
また、学期ごとの挨拶となると、入学式や卒業式とは違った方向性にしなければならず、悩むこともあろうかと思います。
この記事では、挨拶を考える際のテクニックやコツとともに、3学期始業式にしぼっての挨拶例文を三つお届けします。
校長先生はもちろんですが、クラスの先生にもご参考いただける内容です。
なにかしらのヒントにしていただけるはずです!
3学期始業式挨拶、適切な長さは
一般的にショートスピーチに適した時間は3〜5分間と言われます。また、1分間のスピーチは300文字程度が必要です。
とはいえ、小学生、ましてや6歳〜12歳の年齢幅の子供を相手にと考えるとこのスタンダードは適切とは言えません。
長さとしては3分を最長と考えるべきです。一般的な3分スピーチには900〜1,000文字が必要です。しかし、通常のスピーチよりもゆっくりと話す必要があるので、その文字数は700〜800字程度を最大値と考えるべきです。
文字数800字はピンとこないかもしれません。原稿用紙2枚です。
書いてみると、かなり少なく感じられるものです。この文字数で中身があり、小学生にも身になるスピーチを、と考えると内容はかなり絞り込まざるを得ません。
もともとショートスピーチにはメッセージを一つにすることが原則です。メッセージがいくつも入ると焦点がぼやけますし、そもそも3分では足りません。
- メッセージを明確にする
- 原稿を起こし文字数を決める
この二つの作業を行うことによって、すっきりかつ明瞭なメッセージが込められた話を作ることができます。原稿を起こすことにより客観的に見られるばかりか余分な言葉に気が付くことができるでしょう。
さらに、原稿を作る際に気をつけるべきことが二つあります。
- 接続詞や読点をなるべくさけ、一文を短く
- 一文に情報はひとつ
この二つを意識することで、より子供に伝わる原稿が出来上がります。少し幼稚な文章の羅列になるでしょう。ぶつ切りな文の連続です。しかし、短い文で伝えるほど子供には理解がしやすいですし、集中力も保てます。
また、原稿が出来たら音読をして、チェックをします。
3学期始業式にふさわしいテーマは?
3学期始業式=一年の始まりということで、やはり子供に目標を定める、決心を促すような内容とすることが相応しいでしょう。
「ネタ」は数多く見つけられる季節ではないでしょうか?
- お正月の風習や行事
- 年始にまつわる言葉や習慣
- 年度最終学期としての心構え
- 進級へむけてのあるべき姿勢
これらから言葉を膨らませるのも良いですし、健康、希望、教養など普遍的なテーマも定番でしょう。何にせよ子供を前向きにさせる、元気付ける言葉を大切にしたいですね。
子供が受け止めてくれる言葉や話題は?
子供を元気付け、前向きにさせるには
- 可能性を感じさせる
- 背中を押してあげる
- やる気にさせる
- 期待を見せる
これらを意識した言葉が重要です。長い言葉よりも単語をもとにしたメッセージが伝えやすいでしょう。また、子供がクスっとできる言葉が添えられるとかなり関心が引き寄せられます。
また、学期ごとに毎回同じメッセージを伝えるという手段もあります。
実際に私が通っていた小学校の校長先生は毎回「良い姿勢」というワードで話をされていました。「良い姿勢」が生む効果やメリットを話されていたのでしょうが、内容までは覚えていません。ですが「良い姿勢」というワードはきっちり記憶に残っていますし、大人になった今、その大切さは理解できます。
その後何人もの校長先生と出会いましたが、話が記憶に残った先生はいないことを考えると小学校時代の校長先生の手法は効果的であったと認められるのではないでしょうか。
NGな言葉や話題は?
では、3学期始業式の挨拶で避けたい言葉や話題はあるでしょうか?
- 四字熟語
- 名言・格言
- 慣用句
子供へのスピーチに使われがちで、NGとまでは言えませんが、抽象的なものはより具体的なイメージに置き換えてあげる必要があります。小学生には言葉そのものに対する想像力が追いつかないことが多々あります。
- 格差を意識させる言葉
- 宗教につながる言葉
クリスマス、お正月と日本人には馴染みのイベントを過ごした後の学期なので、触れてしまいがちです。「プレゼント」「サンタ」「お年玉」など特にコロナウイルスの影響で厳しい家庭環境の子供もいる中で注意すべき言葉です。
また、宗教的な話はそもそもタブーですが「初詣」なども宗教的行事です。そこまで目くじらを立てる必要はないかもしれませんが、多国籍化で他宗教の子供が増えてきていることを踏まえれば気にしていかなければいけない言葉ですね。
3学期始業式例文
それでは小学校3学期始業式挨拶例文を三つお届けします。
①ことわざをやさしく解説。793文字です。
みなさん、あけましておめでとうございます。
みなさんが無事に登校できて、元気な顔をみせてくれたこと、先生達はとても嬉しく思います。
冬休みは楽しかったですか?
さて、今日は今年の干支の虎にまつわるお話をしたいと思います。
ことわざに「虎の威を借る狐」という言葉があります。
ちょっと難しいですね。
虎の威の「威」は威張ったり、ひとをおどしたりする態度を表します。
「借る」は借りるの意味。
なので、この言葉は、虎の恐ろしさを借りた狐、ということです。
強い者の力を借りて威張るズルイ人のことをいいます。
あるとき虎に食べられそうになった狐が言いました。
「私は天から百獣の王に選ばれている。私を食べると天罰がくだってしまうぞ。嘘だと思うなら私についてきなさい。」
そして、狐は虎を従えて歩き出します。
すると、なんということでしょう。
狐の姿を見た他の動物達はみな逃げていくではありませんか。
でも、これは狐を見て逃げたのではありません。
狐の後ろをついて歩く虎を見てみな逃げ出したのですね。
みなが逃げる姿を見て、虎は狐の話を信じて食べるのをやめました。
スネ夫がジャイアンと一緒にそこどけそこどけーと威張っているのと似てますね。
そこで私はみなさんに言いたいことがあります。
みなさんは、虎の威を借りるのではなく、一人一人が強い人になってもらいたい。
強いというのは腕力のことではありません。
強い心のことです。
何事にも一生懸命取り組む強い心をもってください。
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