日本の多くの風習やお祭りがお好きな皆様。『初閻魔』というお祭りがあるらしい、って聞いたんだけどそれって一体何なの?と疑問をお持ちではありませんか?
私も最近初めて耳にしたので気になって調べてみました。
初閻魔は毎年1月に行われる閻魔さまのお祭りです。これから、なぜ閻魔さまがお祀(まつ)りされるようになったのか?どういうお祭りなのか?閻魔さまと十王の関係とは?などについて、お伝えしていきますね。
仏教や地獄のお話も関わるので、少し難しくボリュームがある内容ですが、できるだけ簡単に、表などを使ってわかりやすく説明していきますのでご安心くださいね。
また後半には、初閻魔で有名なお寺の紹介と、2022年の開催予定の情報もご紹介します。
ここだけ知りたい方は、記事を飛ばしてご覧くださいね。お寺に電話で直接確認したので、安心確実な情報です!
15分くらいで読める記事ですが、これを読めば、初閻魔について完璧な知識が手に入りますよ! それではさっそくいきましょう。
初閻魔とは?ご利益は?
閻魔さまと言えば「恐い!地獄に堕(お)とされる!」というイメージがありませんか? そんな閻魔さまのお祭りがあるなんて驚きですよね。
一体、『初閻魔』というお祭りはどんな行事なのでしょうか?
初閻魔とは?
あまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、毎月1日と16日は閻魔さまのご縁日。その中でも1月16日のご縁日は『初閻魔』と呼ばれています。
縁日は神社やお寺などに出店が並ぶお祭りの日、という感覚ですよね? でも正式には、「特定の神仏に縁を結ぶ日」のこと。そのため、縁日に参拝すると普段以上のご利益を得ることができると信じられています。
特に初閻魔は、1月16日と7月16日の年に2回訪れる『閻魔賽日(えんまさいじつ)』のうちの1日。
みなさんも「地獄の釜の蓋が開く」なんて言葉を聞いたことありますよね? 閻魔賽日は、地獄の釜の蓋が開いて鬼たちが仕事を休むので、亡者たちもその日ばかりは苦しく責め立てられることから開放されて骨休みができる日、とされています。
昔の方たちは、地獄の釜の蓋が緩み、閻魔さまがお休みになられている縁日の日に、ご利益にあやかろうとお参りに参列したんですね !
どんな行事なの?
初閻魔の縁日は、開催期間がお寺により異なり、お正月の三が日に合わせて行うお寺や、「えんま詣」として1月16日の前後に数日間行うお寺などがあります。
また、催しの内容もお寺によって様々です。参道に出店が並んだり、閻魔堂をご開帳したり、閻魔堂の内部に入れるお寺もあります。
閻魔さまにお参りの際は、死後に地獄に堕(お)とされないように、日頃の罪や汚れを許してくださいとお願いをします。そして、ご先祖さまなど亡くなられた方のご冥福を祈願しましょう。
また、『地獄変相図(じごくへんそうず)』や『十王図(じゅうおうず)』などを拝観できるお寺もあります。
地獄変相図とは、罪を犯した人間が、地獄に堕(お)ちて苦しむ姿を図に描いたものです。悪いことをしてはこうなるぞ、良い行いをしなさい、という正しい信仰を教えるためのものですね。
十王図とは、地獄の10人の王を描いた図像のことです。地獄の番人といえば閻魔大王だけと思っていませんか!? 実は、他にも9人の王がいたのです。ビックリですよね。この『十王(じゅうおう)』については、あとで詳しく説明しますね。
なぜ閻魔さま?
そもそも、なぜ閻魔さまがお祀(まつ)りされているのでしょうか?
それを知るためにも、まずは閻魔さまが何者なのか? を先にご紹介しましょう。
地獄には10人の王がいて、人の死後、順に死者の裁判を行います。閻魔さまは、その5番目に審判を下す『閻魔王』です。
閻魔さまの宮殿には、「浄玻璃(じょうはり)の鏡」という死者が生まれてから死ぬまでの善行・悪行をすべてを映し出す鏡があり、その内容が閻魔帳に記録されています。
その閻魔帳と、1~4番目の王の判決をもとに、『来世は人間かどうか?』という六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)を決めるのが閻魔さまのお仕事。そのため、閻魔さまは、十王の中でも最も重要な裁判を担当している中心的な裁判官というわけです。
このような死後の裁判や地獄行きの話を、昔の人はとても恐れました。その結果、「生きている間に閻魔さまや十王を祀(まつ)れば、死後の世界で罪を軽くしてもらえる」という信仰が生まれ、閻魔さまを祀るようになったのです。
もうひとつ別の由来もあります。10人の王はそれぞれ本来の姿は仏様、閻魔さまは地蔵菩薩の化身とされています。いわゆるお地蔵さんですね。
お地蔵さんは「地獄まで降りて行き、罪人を救う仏様」といわれているんです。まさに、『地獄で仏』のことわざの通りですね。
地獄の裁判で苦しんでいる時にお地蔵さんが救いに来てくれるように、お地蔵さんの化身である閻魔さまを拝むようになった、とも言われています。
初閻魔のご利益は?
ここまで読んで頂けた方は、もうお気づきの方もいるはずです。
そうです! 閻魔さまにお参りをすれば、『日頃の罪を許してもらえる』『死後の世界で罪を軽くしてもらえる』のです。
つまり、裁きの時に地獄行きにならないように、来世も幸せになれますように、ということですね。
殺生や不倫などに加えて、日々の嘘や悪口なども地獄の審判の対象になるのだとか…これは、私も思い当たる節が…(TдT)
来年はさっそく初閻魔のお参りに行かなければなりませんねっ!
また、目の病気にご利益があると言われています。その理由は、『こんにゃく閻魔』の由縁と深い関係があるのですが、それについてはもう少し後でご紹介しますね。
閻魔様と十王
十王とは?
閻魔さまと共に地獄の裁判を行っている10人の王。『十王』という言葉は、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?
でも、初七日や一周忌などの法要はご存知ですよね? これ実は、十王信仰によるものなんですよ! 十王は、知らないうちに、私達の生活に密接に関係していたんです。
どういうことか、詳しく説明していきますね。
仏教では、死後七週間はまだ故人があの世とこの世の間をさまよっているとされています。そして亡くなってから7日ごとに7回、故人は裁判を受けます。
この時、裁きを下すのが『十王』です。
7回の裁きを受けた故人は、四十九日目で来世の行き先が決まるとされています。
つまり初七日や四十九日などの法要とは、その裁きの日に合わせて、残された家族が「極楽浄土に行けますように」と故人の冥福を祈り供養する日のことだったんです。
このように、故人がきちんと成仏できるよう、残された人が法要やお墓参りを行うことを、追善供養(ついぜんくよう)といいます。
十王は、この世の様子も常にチェックしていて、『残された家族がしっかりと追善供養してくれているのか?』によっても、裁きの判定に大きな影響を与えるとされています。
追善供養するものがいないとは言語道断! 良い行いをして生きていなかった結果だ、ということなのでしょうね。これは、日頃の行いを考えさせられますね。
十王の役割
それでは、7日ごとに行われる地獄の裁判とは一体どんな裁きなのか?
それぞれの王とその役割についてみていきましょう。まずは1から4番目の王です。
十王の名称 | 裁き/法要の日 | 担当する罪 | 本地/化身 | ||
---|---|---|---|---|---|
亡くなる → 『冥土の旅』の始まり → 7日間歩き続ける | |||||
1 | 秦広王 しんこうおう |
初七日 しょなのか |
命日も含めて7日目 | 殺生の罪 | 不動明王 |
三途の川を渡る(罪の程度で渡れる場所が違う → 橋・浅瀬・深い毒蛇がいるなど) | |||||
2 | 初江王 しょこうおう |
二七日 ふたなのか |
14日目 | 盗みの罪 | 釈迦如来 |
3 | 宋帝王 そうていおう |
三七日 みなのか |
21日目 | 邪婬の罪 | 文殊菩薩 |
4 | 五官王 ごかんおう |
四七日 よなのか |
28日目 | 身体と口で犯す七つの罪 | 普賢菩薩 |
裁きのポイントは、仏教で守らなければいけない五戒(ごかい)を守っているかどうかです。生き物を殺さない、盗みをしない、よこしまな男女関係を持たない、嘘をつかない、酒を飲まない、などの罪を、王が順番に審査していきます。
次に5~7番目の王をみていきましょう。
5 | 閻魔王 えんまおう |
五七日 いつなのか |
(=三十五日) さんじゅうごにち 35日目 |
欺瞞の罪 | 地蔵菩薩 |
---|---|---|---|---|---|
6 | 変成王 へんじょうおう |
六七日 むなのか |
42日目 | 悪口の罪 | 弥勒菩薩 |
7 | 泰山王 たいざんおう |
七七日 なななのか |
(=四十九日) しじゅうくにち 49日目 |
陰口の罪 | 薬師如来 |
人の目をごまかし、だます行為や、悪口、陰口などの罪について裁きを受けます。また、閻魔さまは総合的に判断して、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)のうちどこに生まれ変わるのかを決めます。
その判定を受けて、変成王が六道のそれぞれの内容を決めていきます。例えば、畜生(ちくしょう)といっても、虎や馬、兎など様々ですよね。地獄の中も何種にも分かれているようです。
最後に泰山王が、性別や寿命などさらに細かい内容を考え、最終決定が行われます。
この日が法要などでお馴染みの『四十九日』ですね。四十九日に来世の行き先が決まるといわれているのはこのためだったんですね。
あれ? あとの3人は何もしないのでしょうか?
そんなことはありません、残りの3人の王についてみていきましょう。
8 | 平等王 びょうどうおう |
百カ日 ひゃっかにち |
100日目 | 遺族の貪欲の罪 | 観音菩薩 |
---|---|---|---|---|---|
9 | 都市王 としおう |
一周忌 いっしゅうき |
命日から満1年目 | 瞋恚の罪 | 勢至菩薩 |
10 | 五道転輪王 ごどうてんりんおう |
三回忌 さんかいき |
命日から満2年目 | 邪見の罪 | 阿弥陀如来 |
ここからは一度下った審判の救済です。地獄・餓鬼・畜生界に生まれた者を再審してくれます。ここでは四十九日後の行いや、追善供養の様子などをみて判断されます。
平等王は、百ケ日の法要を行う遺族の心をみています。この時、遺族に欲やむさぼりの心がなければ、故人も自らも来世で天上界に行けるようになります。
また、生前の罪が重く地獄に堕(お)ちた故人も、遺族が一周忌の法要を行えば、都市王によってその罪は許されます。
そして、2年目の三回忌が最後のチャンスです。大罪でなくても飲酒や嘘などには覚えがある私としては、地獄送りになる可能性もありますよね…? そう思うと、いずれ自分が亡くなった時には三回忌の法要まできっちりと行って欲しいと切に願います!
ただ、五道転輪王は地獄ばかりでなく、天上界もチェックしています。四十九日に天上界行けてラッキーと喜んでばかりはいられないようです。
天上界に行った後でも、そこで悪さをすれば地獄に落とされることがあるのだとか。有名なのは孫悟空。天上界で悪事を行い、その罪を受けましたよね。
藪入りとはどんな意味?
藪入りとは?
藪入り(やぶいり)とは、江戸時代に広まった風習です。この時代は、商家などで住み込みで働いていた奉公人や女中さん、嫁いだお嫁さんは、簡単には実家に帰ることが許されない時代でした。
そんな中、奉公人やお嫁さんが大手を振って実家に帰ることが許された日がありました。それが『藪入り』の日です。
藪入りは年に2回、1月16日と7月16日です。小正月や盆が明け、大忙しだった家の用事が一段落するのがこの日なんです。そして、「いつもご苦労さん」と奉公先や嫁ぎ先からお小遣いやお土産をもらい、喜んで実家に帰ったそうです。
お正月やお盆に実家に帰省する風習は、ここから始まったそうですよ。
初閻魔との関係は?
1月16日の藪入りの日は、『初閻魔』の日にもあたるので、日々働いている奉公人やお嫁さんたちも、この日ばかりはと、えんま詣でに出かけました。娯楽が少ない時代ですので、縁日などのお祭りは、この時代の人達にとって心からの楽しみになっていたでしょうね。
この薮入りと初閻魔の関係については諸説あるようです。ご紹介したように、それぞれ別の起源で始まり、たまたま同じ日であったという説。
また、藪入りの期間は「地獄の鬼たちもさすがに仕事を休むだろう」という事で、その間に閻魔さまにお参りに行こう、と始まったのが「初閻魔」という説。
逆に、地獄の釜の蓋が開いて鬼も休む日なんだからという事で、その日は奉公人も休みを取らせようと「藪入り」が始まったという説。
いずれにしても、藪入りと初閻魔は切っても切り離せないようで、初閻魔の縁日を大切に思い、多くの人が心待ちにしていたことが感じ取れますね。
初閻魔が行われるお寺は?こんにゃく閻魔とは?
さて、ここまでお話してきた初閻魔。一体どこのお寺に行けばいいのでしょうか。
それでは、初閻魔を楽しめる各地の寺院をご紹介します!
初閻魔を楽しめる寺院
法乗院 深川えんま堂(東京)
390年以上の歴史のあるお寺。日本最大の閻魔王像があることで有名です。閻魔さまの説法も聞くことができます!本堂に展示されている全16枚の地獄・極楽図も圧巻です。
- ご開帳:毎月1日16日、大晦日~1月16日 現在中止。年末お正月も開帳するかまだ未定
- 初閻魔:1月16日 閻魔天大護摩供(ごまく) 一般参加中止の可能性あり、まだ未定
- 出 店:15年ほど前から出店はなくなったそうです。参拝者が減っているせいですね…
観音院 長円寺(京都)
幕末には新選組も初閻魔のお参りに訪れたお寺。現在は壬生の狼の切り絵がデザインされたお札が頂けます。
- ご開帳:2・3月、8・9月以外の10時~17時ならいつでも閻魔像を見ることができます。
- 閻魔札朱印授与期間:4月~7月末、10月~1月末
- 初閻魔:正月1日~3日 12月中にHPにて来年の開催の有無を公表するとのことです。この日はお札でなくご朱印帳に直接書きのご朱印が戴けます。
- 出 店:昔はあったそうですが、現在はないそうです。
- 夜閻魔:7月に開催 申込制 コロナ禍にて中止しています。
勝専寺(東京)
レンガ造りの珍しいお寺で、赤門が有名です。日ごろの罪を許してもらえるご利益の他に、ぜん息、扁桃腺炎などのノドの病気に良いといわれています。
- ご開門:1月16日、7月16日 年に2回しか開かない赤門です。
- 初閻魔:『閻魔開き』と呼ばれています。1月16日、7月16日
- 出 店:多くの出店が並びます
現在も多くの人で賑わっているのが分かりますね。
ここで、初閻魔は行ってはいないのですが、地獄寺とも言われるちょっと変わったお寺も紹介させてください。
全興寺(大阪)
地獄の様子が分かるシアターや、極楽度・地獄度チェッカーなどがあり、大人も子供も楽しみながら命の大切さを学べるお寺です。地獄の世界を体験したい方はぜひどうぞ。
こんにゃく閻魔とは?
東京にある源覚寺(げんかくじ)の閻魔さまは「こんにゃく閻魔」と呼ばれ、目の病気にご利益があることで多くの信仰を集めています。このお寺の閻魔さまの右目は、割れて黄色く濁っています。
それにはこんな言い伝えがあります。
1700年代、眼病を患った老婆がいました。その老婆は、源覚寺の閻魔さまを毎日拝みました。すると夢の中に閻魔さまが現れ「願掛けの満願成就の暁には、私の両目の内、ひとつを貴方に差し上げよう」と言われたそうです。
老婆の目は治りました。そして、閻魔さまの右目は盲目となったのです。老婆は感謝のしるしとして好物の「こんにゃく」を供えつづけたということです。
このことから、源覚寺の閻魔さまは「こんにゃく閻魔」と呼ばれるようになりました。
7月16日、閻魔縁日。②
次に東京ドーム近くの源覚寺、通称こんにゃくえんま様へ。
お婆さんの眼を治したことで、片目が黄色になった閻魔様です。
閻魔縁日限定御朱印を2体拝受しました。一枚は切り絵になってます。#閻魔縁日 #御朱印 #源覚寺 #小石川 pic.twitter.com/yXasZpkN0n— ayu-me (@ayume11302017) July 16, 2021
今でもお供えにこんにゃくを持参する方もいらっしゃいますよ。
源覚寺(東京)
- 初閻魔:『閻魔例大祭』1月15.16日、7月15.16日 現在のところ2022年1月の閻魔例大祭は開催予定です。
- ご開帳:例大祭の日 十王図を拝観できます
- 出 店:なし。コロナウイルス感染拡大前は門前でこんにゃくを振る舞っていました。
こんにゃく閻魔さまのご利益に預かりたいけど、まだまだ遠出できないという方には、お札やお守りのネット販売もされていますので、ぜひご覧くださいね。
源覚寺公式販売サイト
初閻魔の開催について、電話で問い合わせしたどのお寺も、非常に丁寧にご親切に対応してくださいました。
お寺に電話するなんて、少し勇気がいりますが、コロナの情勢の変化によって例年通りにいかないことが多い時です。なにかあればお気軽に直接お問い合わせすることをおすすめしますよ。
感染が収まってきていますが、お出かけの際は感染対策をしっかり気をつけてくださいね!
初閻魔のみどころは?屋台はでるの?
初閻魔の1番のみどころ・魅力は、やはり「いつも以上に閻魔さまのご利益を頂ける日」ということです。初閻魔のこの日に、しっかりと閻魔さまとのご縁をつないで、あの世や来世も安泰でいきたいものです。
次に、初閻魔のみご開帳される地獄極楽絵図や十王図。お寺によっては常に拝観が可能な場合や、絵図が無いお寺などもありますので、ご確認してお出かけくださいね。
初閻魔に屋台がずらーっと並んだのは、どうやら一昔まえのようです。現在は屋台が出ているお寺はあまりないようです。しかし、本来の目的は閻魔さまへのお参りですから、ちょっと寂しいですけど屋台がなくても問題ないですよね。
初閻魔のお参りの作法は?
初閻魔のお参り方法は?
初閻魔だからと、特別に考えることはありません。一般的なお寺のお参りの方法で大丈夫ですよ。
お寺の門前で帽子などをかぶっている場合には取り、一礼して、敷居を踏まないように気を付けて門をくぐります。
閻魔さまの前では、お供えやお賽銭をして手を合わせましょう。手を合わせる際にお数珠があると、なお良いですね。
そして、日頃の罪を懺悔(さんげ)して、心を洗い流し、新年の無事をお願いしましょう。また、供養したい故人がいらっしゃる方は、その方の冥福をお祈りしましょう。
神社との違いは?
お参りの際に、お寺では、手を合わせる際に柏手(かしわで)は打ちませんので、そっと手を合わせて拝みましょう。
神社では、2礼2拍手1礼するのが慣わしですので、間違えないようにしましょう。
まとめ
今回、初閻魔についてご紹介したポイントをまとめてみましょう!
1 初閻魔とは?ご利益は?
- 毎月1日16日は閻魔さまのご縁日。その中でも1月16日は『初閻魔』と呼ばれています。
- この日はお寺で閻魔堂のご開帳やお祈りなどが行われます。
- 閻魔さまにお参りすることで、日頃の罪を許してもらえる、眼病平癒のご利益があります。
2 閻魔様と十王
- 閻魔さまと共に地獄の裁判を行っている10人の王のことを『十王』と呼びます。
- 十王たちは、亡くなった方の生前の罪を裁いて、地獄に行くかどうかや、来世の行き先を決めたりします。
- その中でも閻魔さまが特に有名なのは、来世の行き先を決める中心的な存在だからです。
3 藪入りとはどんな意味?
- 藪入りは、小正月や盆が明けた1月16日と7月16日の日のことです。江戸時代に住み込みで働いていた奉公人や、嫁いだお嫁さんが、唯一実家に帰ること許される日でした。
- 1月16日の藪入りの日は、『初閻魔』の日にもあたるので、この日ばかりはみんな仕事を忘れて、えんま詣に出かけたそうですよ。
4 初閻魔が行われるお寺は?こんにゃく閻魔とは?
- 法乗院 深川えんま堂(東京)
- 観音院 長円寺(京都)
- 勝専寺(東京)
- 全興寺(大阪)
- 源覚寺(東京)
ここの閻魔さまは「こんにゃく閻魔」と呼ばれています。昔、閻魔さまに目を治してもらった老婆が、お礼にこんにゃくをお供えしたことが始まりです。
5 初閻魔のみどころは?屋台はでるの?
- 初閻魔は「いつも以上に閻魔さまのご利益を頂ける日」ということが魅力です。閻魔さま像をしっかりと拝みましょう。
- お寺によって地獄極楽絵図や十王図を特別拝観できる場合もあるので要チェックですよ。
- 現在は屋台が出ているお寺はあまりないようです。
6 初閻魔のお参りの作法は?
- 一般的なお寺のお参りの方法で大丈夫です。お供えやお賽銭をして、柏手(かしわで)は打たずにそっと手を合わせて拝みましょう。その際にお数珠があると、なお良いです。
- 閻魔さまの前では、日頃の罪を懺悔(さんげ)して、新年の無事をお願いしましょう。
貧困や疫病などで苦しむことの多かった昔の人にとって、極楽浄土への憧れや、死んだ後の地獄への恐怖は、計り知れないものだったんでしょうね。
閻魔さまにお参りすることで、自分や親しかった故人の行く末をいい方向へ導こうと努めていたんだなぁ、と感じます。
現在は、初閻魔という言葉も聞き馴染みがなくなり、法要や法事も形だけで本当の意味を知っている人が少なくなっているように思います。
今回調べてみて改めて、死後の世界や、故人の供養について考えることが、今の日本人には必要なんだろうと思いました。
日々の生活の中で犯してしまう、小さな嘘や裏切り、欲に溺れたりお酒に飲まれたりすることなく、自分を正して生きていくには、こういった教えが大事なんですね。
みなさんも、2022年の初閻魔には、ぜひ閻魔さまに日頃の罪を謝りに行きましょう。そして、新年を無事過ごせるように、あの世で地獄に送られないように、お願いしましょうね!
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