一年で最後の月、12月。師が走るほど忙しいなんて言いますが、年末は実際とっても忙しいですよね。さあ皆さん。大掃除、いつ始めますか?
仕事や家事育児で忙しいから大掃除は後回し…なんてなっている方いませんか?
はい、わたしです。
日頃小まめに掃除をしているから大掃除の必要なんてないよ!という方もいますね。尊敬します。非常に見習いたいです。
突然ですが、日本には毎年12月13日に“正月事始め”という12月ならではの行事があります。お正月の準備を始める日とされていますが、実は長い歴史と深い意味もあるのですよ。
由来や意味を知って、バタバタと過ごしていた年末とは今年こそサヨナラしましょう。
一緒に気持ちよくお正月を迎えましょうね!
正月事始めとはどんな行事?初詣との違いは?2022年はいつ?
正月事始めとは?
”お正月(年神様)を迎えるための準備にとりかかる日“のことです。
主に行われることは2つで、煤払いと松迎です。(詳しくは後述します。)
現在でも神社仏閣では正月事始めの日に煤払いの行事が行われていますね。また、京都祇園では芸舞妓さんが鏡餅を持ってお師匠さんのところへご挨拶に行く風習があります。
正月事始めで行われる代表的な習わしの一つの煤払い。この煤払いは平安時代にはすでに習慣化しており、煤を払うことで厄を落とすと考えられていました。その後、江戸時代になると大吉日である鬼宿日(きしゅくにち)の12月13日が江戸城の煤払いの日に定められました。
この煤払いが庶民へと広がり、以後正月事始めとして定着したのです。
この12月13日は旧暦でしたが新暦に変わってもその日にちが受け継がれ毎年12月13日が正月事始めの日とされています。
2022年の12月13日は火曜日ですね。
初詣とは?
初詣の定義は年が明けてから初めて神社やお寺へお参りすること、です。
元旦に行かなければいけないというわけではなく、1月中にお参りするのが良いとされています。もともとは大晦日の夜から元旦の朝にかけ家の主が氏神様の社にこもる年籠りを由来としています。
正月がつくので1月の行事と思われがちですが、正月事始めは12月に行います。
初詣はご存知の通り1月ですね。
また、正月事始めが年神様を家にお迎えする準備なのに対し、初詣はその土地の神様へのご挨拶です。
実は対する神様が違うといった違いもあります。
正月事始めを12月に行う由来や意味は?
事始めの事とは物事の事。物事を始めるという意味になります。中でも正月事始めは年神様をお迎えする正月の準備を始める日ということです。なので、お正月の前に準備に取り掛からなくてはいけませんね。
ではなぜ12月13日と決まっているのでしょう?
この日は鬼宿日(きしゅくにち)という大変縁起のいい日なのです。
鬼が宿にいるので町を出歩かない=邪魔をされない=物事を始めるのにいい日と考えられています。お財布を新しくしたり宝くじを買うのにもいいですよ。
ちなみに婚礼だけはNGです。
“鬼が宿にいる”の宿を家とすると、嫁入りで家に入ったら鬼と鉢合ってしまい、大変ですね!
婚礼関係の行事は避けましょう。
煤払いや松迎え、何をするの?どんな意味があるの?
煤払いや松迎え、耳にしたことはあるでしょうか?近年では耳馴染みのない言葉になりつつありますね。
解説していきます!
煤払い(すすはらい)
家の中の煤やほこりを掃除する事です。現代でいうところの大掃除ですね。
今でこそ煤は馴染みがありませんが、昔は囲炉裏やかまどを使用していたので、家中煤だらけになります。まっくろくろすけ大量発生です。
払いは厄払いの意味もあります。神社仏閣では恒例行事であるように、一年で汚れた家の中をきれいにする事で厄払いをし、家の中を清めるという儀式的な意味合いも強くあります。
かつては煤払いが終わったら祝宴が開かれたという話もあり、煤を落とし綺麗にすればするほど年神様が福を運んできてくれると信じられていました。
神社仏閣では長い竹の先に笹や藁を付けたもの(煤梵天/すすぼんてん)を使用し、煤払いをしています。
☆おうちでの煤払い、用意するなら?
→ 掃除用具!
煤梵天は使用後はお焚き上げされていたので毎年新品です。それに倣うならぜひ新品をご用意してみてください。
松迎え(まつむかえ)
門松やおせちを作るための薪など、様々な木を山に取りに行くことです。煤払いよりも馴染みがありませんね。
現在では木を山に取りに行くこと自体ほぼ無くなってしまったので、言葉自体使われなくなってきました。
☆おうちでの松迎え、用意するなら?
→ 無いです!お正月飾りを買いに行きましょう!
門松を一から作るご家庭も、おせちをかまどで作るご家庭も今となっては珍しいのではないでしょうか。気軽に木を取りに行ける山もなかなか無いですね。
素敵なお飾りを探しに行きましょう!
もうひとつ、正月事始めには年男という慣習もありました。正月の準備を取り仕切る人のことを指します。
家の主が努めていましたが、大変な役割だったことから段々と長男や奉公人などの若い男性が行うようになりました。
現在ではお母さんが率先して掃除やおせち作りをすることも多いのではないでしょうか。もはや年“男”ですらなくなっている場合もあるのですね。
針供養と正月事始めの関係は?
こんにゃくや豆腐に針を刺す映像をTVで見たことがある方もいるのではないでしょうか。
それが針供養という行事です。
針供養(はりくよう)
日頃お世話になった折れた針などの古い針を供養し、裁縫の上達を祈る行事です。
豆腐やこんにゃくといったやわらかいものに針を刺す方法もあれば、川や海へ流したり、神社に納める供養の仕方もあります。
江戸時代からの行事で、現在でも針を使う裁縫師などの間で行われています。
いつ行う?
事八日である
- 12月8日
- 2月8日
の両日か、片方のみ行われます
九州や関西では12月8日、東北や東海では2月8日に行われることが多いです。
事八日とは?
一年はお正月を中心として、12月8日から2月8日は神様をお迎えするため(神事)の期間。2月8日から12月8日までは人々の日常の営み(農事)の期間とされています。
この区切りの日である12/8と2/8に行われる冬の年中行事が事八日です。
事八日は事始め・事納めとも呼ばれますが地域によって異なります。事八日のコトはお祭りという意味です。
お正月のお祭りを指すのなら12月8日が事始めで2月8日が事納め。農耕儀礼(人々の生活の営み)を指すならば2月8日が事始めで12月8日が事納め。というように逆転して呼ばれるのです。
事八日の日は妖怪や魔物が来るとされ、家の軒にかごを高く掲げたり、門口にヒイラギやイワシの頭などを取り付け魔除けとしました。
本来の意味としてはお祭りの前後に行われる物忌みのことです。物忌みとは仕事を休み家の中で慎ましく過ごすこと。これがのちに妖怪が来るから家の中にいなさいと説明されるようになり、現在の風習になりました。
針供養と正月事始めの関係
針供養の行われるお祭り前の物忌み期間(事八日)が終わると、いよいよお正月に向けての準備(正月事始め)になります。
内容は別物ではありますが、お正月というお祭りへ向けた準備という意味では関連していますね。
5正月事始めから大掃除をはじめよう
それでは古くからの慣習に習い、お正月に向けて大掃除の計画を立ててみましょう!
せっかくなので12月13日の正月事始めの日に大掃除したいところですが、2022年は火曜日なのでお仕事もあるかと思います。13日付近の土日など、お休みの日を一日大掃除の日として決めたいところです。
大掃除の基本は高いところから低いところ、奥まったところから手前に。これだけはまず覚えておきましょう。
大掃除の基本!
仏壇や神棚がある場合はそこから!
上から下へほこりを払い、日頃はしない仏具のお手入れもしてあげましょう。
台所
台所は家族が生きるための食事を作る場所です。かまどの神様用の神棚があるご家庭もあるでしょう。台所が汚れていると生命力が落ちるとも言われています。
入念にお掃除しましょうね。
水回り
お風呂、トイレ、洗面所といった水回りは汚れが溜まりやすいところです。普段のお掃除では出来ないところを思い切って掃除しましょう!
居間などの団らんの場
カーテンを洗ったり、窓掃除など天候に左右される箇所もあると思います。この日一日ですべてやろうと思わず、ここだけはやろう!と決めておきましょう。
大掃除がおわったら正月飾りを飾ります。
注意しなければいけないのは飾ってはいけない日があることです。
- 12月29日 9=苦、二重の苦という意味になってしまうのでNGです。
- 12月31日 一夜飾りとなってしまい、縁起が悪く神様に対しても失礼になってしまいます。
この両日は大掃除をするのもよくない日とされていますので注意しましょうね。
まとめ
- 正月事始めとは?
毎年12月13日に行われる、煤払いや松迎などをして年神様をお迎えする準備を始める日のことです。 - 事始めはなぜ12月に行う?初詣との違いは?
お正月の準備を始める日なので12月中に行います。12月13日は物事を始めるのに縁起の良い大吉日とされています。初詣は1月中に行うのが良いですね。 - 煤払いや松迎はどのように行う?
煤払いは現代の大掃除。出来れば新品の掃除道具を用意しましょう。松迎は山に行く必要はありません。素敵な正月飾りを買いに行きましょうね。 - 針供養と正月事始めの関係
針供養は日頃お世話になっている道具に感謝し供養すること。事八日(事始め・事納め)の日に行われる代表的な行事です。事八日が終われば正月事始めです。お正月の準備にとりかかりましょう! - 大掃除をはじめよう!
高いところから低いところ、奥から手前に向かって掃除しましょう。仏壇、神棚、台所、水回りを入念に。一日で終わらそうと無理をせず、計画的に進めましょう。
正月事始めには平安時代から続く古い歴史がありました。
身の回りをきれいに清めてから気持ちよく新年を迎える慣習が、大掃除として現代にも受け継がれているなんてとても素晴らしいことですね。
意味を知ってしまった以上、年末にバタバタと掃除するなんて事はもうできません。今から計画を立て、感謝を込めてお掃除しましょう。
ピカピカになったおうちで気持ちよく新年を迎えましょうね。
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